「住まいは田舎がいい、森と日溜まりでひと寝入り、飛ぶ鳥、稲と日照り、まだ独りもいいが、家内はいます」 森博嗣
家を作る、という行為がある。それが物理的な構築物であれ、コンピュータ内部のデータであれ、まず設計が必要となる。どこに何を作るか。それを決定するプロセスだ。
設計において、庭という要素を考慮に入れる。これは個人的な関心に基づくものだが、ビオトープという生態系への興味、あるいは3DCGにおける表現対象として、その構造を理解することは有効で、対象への理解は、自身の認識の解像度を高めることに繋がる。
建築基準法という現実世界のルールがある。バーチャルな構築物に、これを適用する義務はない。しかし、現実から完全に乖離した設計が、必ずしも良い結果をもたらすとは限らない。ある程度の制約は、思考の枠組みとして機能し、無用な発散を防ぐ効果も期待できる。現実との接点を保つことは、一つの選択肢だ。
バーチャルにおける利便性と、現実における居住性とは、必ずしも一致しない。VRSNSのような環境では、物理法則を超えた移動が可能だが、それが快適な体験に直結するわけではない。操作性と居住性の間で、適切なバランスを見つける必要がある。これは二者択一ではなく、目的に応じた最適化の問題と捉えるべきだ。
庭を設ける場合、屋上庭園か、あるいは独立した庭を持つ一軒家か、という選択が生じる。状況設定はどちらでも構わないが、空間の構成を考える上では、内装から発想する方が効率的な場合がある。内部の機能が決まれば、外形や間取りはそれに追随する形で定まってくる。
玄関を入るとリビングが見える。キッチンには生活の気配が漂う。プライベートな空間としての寝室。そして、生活に必須な水回り、すなわち風呂やトイレ。これらの要素を適切な動線で結びつけることで、居住空間としての実体感が増す。
もし、他の空間から隔離された領域が必要ならば、それは階層構造によって実現されるだろう。2階や地下といった、平面的な広がりとは異なるバーチャルならではの次元の導入である。
これで、構築に必要な要素は概ねリストアップされた。次の工程は、これらの要素を具体的な形に落とし込むことだ。図面を作成するか、あるいは直接的なラフモデルを構築するか。手段は問わない。重要なのは、抽象的な思考を、具体的な形態へと変換する作業を開始することである。